神戸市交通局と阪急電鉄に3月24日、「女性専用車両に一般男性は乗車できないのかどうか」を問い合わせたところ、本日(3月31日)、ようやく、阪急電鉄から以下の回答がありました(注:「二次使用禁止」、「転載不可」などの記載がないので、その「一部」を掲載します)。神戸市交通局の回答はまだですが、まあ、似たり寄ったりでしょう(苦笑)
>弊社の女性専用車両は、国土交通省が「男女共同参画社会へ向けて女性の社会進出を支える環境づくり」の一環として提唱したことを受け、女性のお客様に対する痴漢等の迷惑行為防止に有意義であると判断し、導入いたしました。
「女性のお客様に対する痴漢等の迷惑行為防止に有意義」というのは、疑問だらけ、矛盾だらけです。まず、保護対象は「女性だけ」でいいのでしょうか? 男性だって、痴漢や痴女に遭うことがあります。また、「有意義」というのが曲者で、「痴漢被害に悩む女性が痴漢被害に遭わなければ(有意義で)、別に、痴漢被害は減らなくてもいい」という中途半端さが透けて見えます。なお、「痴漢等の迷惑行為」の「等」にあたる痴漢以外の迷惑行為は、ヨッパライの迷惑行為なんかを想定しているのでしょうが、ヨッパライの迷惑行為は、男性のヨッパライだけでなく、女性のヨッパライもするでしょうし、それを迷惑に思うのは、女性も男性も同じです。
消費者基本法に則り「必要な情報を明確かつ平易に提供」しましょう
「誰でも乗れます」とか、「男性も乗れます」が、それに当たりますね
もちろん、「This Car is Only for Women」とか、
「女性専用車両」なんて表記はウソですから「もってのほか」です
しかし、まあ、鉄道会社はどこもそうですが、なぜ、「男性も乗れます」とハッキリ言わないのでしょうね? こちらは「(男性が)乗れるかどうか」を聞いているのです。それを「協力をいただいている」では、会話として成り立ちません。
まず、「乗れる」という大前提があって初めて、「協力するかどうか」という話になるのです。と言うか、そもそも、乗り物で一番大事なことは、「乗れるかどうか」です。「協力」云々なんてのは、二の次、三の次です。
まあ、「女性専用車両」は、それが文字通りなら、「男性排除」を前提にしないと成り立たない代物なんですね。だから、大前提であるはずの「男性も乗れます」とは、鉄道会社は(口が裂けても)公言できないのです。それどころか、「女性専用車(両)」とか、「Women Only」などとウソまでついています。要するに、事実を隠蔽しないと成り立たない、ウソをつかないと成り立たない、それが「女性専用車両」なのです。
>この施策は、迷惑行為防止に有効な施策の一つとして、あくまでもお客様のご協力によって実施しております。
おっと、男性にだけ協力を求める今のやり方では、「迷惑行為(=痴漢行為)防止に有効」とは、とてもとても言えません。何しろ、「痴漢被害は減らない」のですから。女性にも協力を求め、女性全員、あるいは、少なくとも、痴漢のターゲットになる女性全員を「女性専用車両」に乗せないと痴漢被害はなくなりません。
ところで、「迷惑行為防止に有効な施策の一つ」とありますが、阪急電鉄は、他にどのような「迷惑行為防止に有効な施策」があると考えているのでしょうか? そして、「女性専用車両」以外に、どのような「迷惑行為防止に有効な施策」を講じているのでしょうか? そうそう、「監視カメラの設置」や「監視員の配備」等は、ホントに「迷惑行為防止に有効な施策」ですが、それらを導入しているのでしょうか?
>目の不自由な方、女性のお客様にご同伴の小学生以下の男性のお子様、お体の不自由なお客様と介護者の、どちらかが女性の場合に同伴される男性はご乗車いただけますが、その他のお客様には、女性専用車両にご協力いただきたいと存じます。
おやおや、「女性のお客様に同伴されていない小学生以下の男性のお子様」の場合は、乗車できないのでしょうか? 「お体の不自由なお客様と介護者、どちらも男性」の場合は、乗車できないのでしょうか? まさか、そんなわけ、ないですね? でも、「協力して(乗らないで)」なんて言われるのでしょうね、たぶん?
(注)これらは、「限定列挙(=これらの限定されたケース以外では男性は乗れない)」ではなく、「例示列挙(=男性は皆乗れて、これらは単なるその例示に過ぎない)」なわけですが、一般の人たちで、これを「例示列挙」だと思う人は(まず)いないでしょう。つまり、こういう表記は「ウソ」ではないが、(意図的な)極めて紛らわしい表記と言えます。
ところで、「(その他のお客様には)女性専用車両にご協力いただきたい」の「協力」というのは、どういう意味なのでしょうか? おそらく、「(女性専用車両には)男性は乗らないで」ということなのでしょうが、それがなぜ、「迷惑行為(=痴漢行為)防止」に協力することになるのでしょうか? 痴漢でない男性が「女性専用車両」に乗らないことが、なぜ、「迷惑行為(=痴漢行為)防止に協力することになる」のでしょうか?
そもそも、痴漢でない男性なら、「女性専用車両」に乗っていても、何の問題もないはずです。一方、万が一、痴漢なら、他の車両に移動させて済む話ではないでしょう。つまり、どっちに転んでも、他の車両に移動させるのは、意味不明というわけです。
>「女性専用車両」に男性がご乗車いただけない法的な強制力はなく、あくまで「男性のお客様のご協力」の上運用させていただいております。
(大阪市交通局及びJR西の)裁判例では、「女性旅客にも男性旅客にも乗車車両について運送契約上の義務を負わせることはない」となっています。ですから、男性にだけ義務を負わせることは(もちろん)できませんが、男性にだけに協力をお願いするのも「片手落ち」です。協力をお願いするなら、女性にも協力をお願いするのがスジでしょう。
と言うか、男性に幾ら「協力をお願い」したところで痴漢被害は減りませんが、女性に「協力をお願い」すれば、そして、それに女性が協力すれば、確実に痴漢被害は減ります。痴漢のターゲットになる女性を(声掛け又はアナウンスで)「女性専用車両」に誘導すれば、それに協力する女性が多ければ多いほど、「痴漢対策」として有効になります。そうそう、痴漢犯罪に関係のない女性(や自分で痴漢を撃退する自信のある女性)が「女性専用車両」に乗らないように協力すれば、その分、痴漢被害に悩む女性が乗れることになります。
最後に念を押しますが、たとえ「痴漢対策として有効(=痴漢被害が減る)」であっても、痴漢でない男性に負担を掛ける、迷惑を掛けるのは、方策として「アウト」です。まして、今のやり方では「女性専用車両」があったところで「痴漢被害は減らない」のですから、それに協力するイワレはどこにもありません。(男性に)協力して欲しかったら、まず、女性が協力(=痴漢のターゲットになる女性は「女性専用車両」に乗り、そうでない女性は他の車両に乗る)し、「痴漢対策として有効(=痴漢被害が減る)」であることを示していただかないといけません。