「中国よりも遅れている日本」(2019年09月24日)のコメント欄で、「SES」さんから、「優先」に関する指摘がありましたので、ここで説明します。

 「優先」の辞書的な意味は、「他をさしおいて先にすること。他のものより先に扱うこと。」とあり、これを額面通り受け取れば、「強制的な意味合い」が含まれている、と解釈するのが妥当でしょう。

 しかし、言葉の意味は、辞書的な定義が「すべて」ではありません。これは、「盗撮」の意味が、辞書と警察では違うのと「同じ」です。

辞書的な「盗撮」の意味=こっそり撮影すること。
警察の言うところの「盗撮」の意味=法律・条例に反する撮影のこと。

 そこで、鉄道会社の使っている「優先」の意味ですが、それは「優先席」の扱いを見れば(容易に)想像できるでしょう。「優先席」は、ウィキペディアには、「優先席(ゆうせんせき)とは、鉄道車両やバスなどに設置されている、高齢者・障害者・体調不良者・妊婦・乳幼児連れ(ベビーカー含む)などを、椅子への着席を優先・若しくは促す座席である。」とあり、「優先・若しくは促す」というのは、「優先」が「促す」という意味、すなわち、必ずしも「強制」ではないことを示しています。実際、鉄道会社が設置している「優先席」は、あくまで「任意」であり、「強制」するものではありません。

 ただし、「優先」は、現実的には「完全に任意である」ということではありません。何らかの強制力、ある程度の強制力が働いているのも「事実」です。だから、若者を中心に、他の座席は埋まっていて「優先席」が空いている場合でも、「優先席」に座らない、という現象も起こるわけです。後で、席を譲らないといけない、あるいは、譲らないと「白い目」で見られるからです。

 ところで、私・ドクター差別は、「優先席」に反対です。「優先席」があると、他の座席では(弱者がいても)譲らない、「優先席があるんだから、そっちに行けよ」となりかねない、これでは、真の思いやり(精神)が育たないからです。また、人を見た目で判断するわけで、座っている若者が見た目でわからない障害があっても、「何で、若いのに席を譲らないんだ?! 怪しからん」となりかねない、あるいは、「自分はまだまだ若い。席なんて譲って欲しくない」と思っているオジイサンに席を譲ろうとすれば、逆に、いやな顔をされるかも知れません。

 少々横に逸れましたが、「優先」には、通常、ある程度の強制力はあるとは言え、「強制」と捉えるのは、どうなのでしょう? 実際、鉄道会社は、「優先」を「強制」と捉えてはいないように思われます。と言うか、「女性専用車(両)」にしろ、「女性優先車両」にしろ、名前がどうであれ、「強制であってはならない」ということです。