「目には目を、歯には歯を」、いわゆる「同害報復の法」は、近代(法治)国家では通用しません。「やられたら、それと同程度、やり返す」では、今の世の中、混乱してしまいます。罪を犯したら、法によって裁かれます。

 ところで、仏教やキリスト教など、宗教の教えからすると、「目には目で、歯には歯で」と解釈すべきだという説があります。これだと、「償いを促す教え」であり、今でも通用しそうです。まあ、「右の頬を打たれたら、左の頬も差し出しなさい」というのは極論過ぎますが(苦笑)

 ともあれ、「目には目を、歯には歯を」は、国内法としては(今時)「アウト」ですが、国家間では、未だに通用します。「やられたら、それと同程度、いや、それ以上、やり返す」なんてことになるわけです。「強国同士」だと、両者壊滅的打撃をこうむるので、さすがに自重するでしょうが、「弱国同士」とか、「強国VS弱国」なら、あり得ます。

 世界の紛争のほとんどは、「弱国同士」です。強国(同士)の「代理戦争」なんて言い方もされます。まあ、この種の「戦争」は、国というものがある限り、民族の違いがある限り、なくならないでしょう。

 一方、「強国VS弱国」という形の戦争もあります。ベトナム戦争などが、その典型です。今ですと、「アメリカVSテロ集団」と言ったところでしょう。

 このように、「力」に圧倒的差がある場合、民間人を巻き込んだテロリズムが横行します。紛争地域で、アメリカの空爆で民間人が犠牲になると(注:わざと、病院や学校を前線基地の隠れ蓑にする場合もある)、その報復を「大義名分」として、アメリカの都市でテロが起こるわけです。まさに、「目には目を、歯には歯を」です。

 アメリカは「超大国」ですが、国際世論を無視して、何でもできるわけではありません。マスコミもありますから。そうなると、「強者」だからと言って、圧倒的力で「弱者(=弱小国)」を叩き潰すこともできないわけです。ベトナムで「(アメリカが)負けた」のも、そういうことでしょう。

 で、何が言いたいのか? 「所詮」と言うか、「まだまだ」と言うか、残念ながら、世界は「目には目を、歯には歯を」で動いているという話です。これがなくなるのは、前述の通り、国自体がなくなる(=世界統一)か、民族の違いがなくなるか、のどちらかでしょう。つまり、まだまだ先の話だということです(苦笑)